家計貯蓄率とは、総務省統計局が毎月実施している家計調査を元に、給料(可処分所得)のうち使わずに貯金へ回している金額の割合です。
一例として家計所得が50万円で25万円を貯蓄した場合の家計貯蓄率は50%です。
税引き前の総所得を分母に計算するのが一般的で、手取りベースで計算した家計貯蓄率は当然低くなります。
一般的な現役世代の家計貯蓄率は20~30%で、手取りベースで計算した場合は10~15%ほどが平均値です。
内閣府が出した家計貯蓄率の推移を見ると、1994年が約12%で平成時代のピーク水準です。
そこから家計貯蓄率は下落傾向が続き、2013年と2014年はマイナスに転じていました。
2015年以降は緩やかな上昇傾向に転じ、2020年のコロナウイルス感染拡大による定額給付金と自粛ムードによって家計貯蓄率が14%弱まで急上昇します。
2021年以降は2020年比で下落しているものの、高水準の家計貯蓄率を維持しています。
家計貯蓄率は社会人になってから結婚するまでの間がもっとも高いと言われています。
結婚後は年齢とともに家計貯蓄率が減少傾向に転じ、高齢者になると収入の減少と医療費の増加を理由に家計貯蓄率が大幅に低下します。
高齢者の平均的な家計貯蓄率はマイナスで、高齢化が進むにつれて全体の貯蓄率が下がるのが相対的な理論です。
2020年代に入ってから家計貯蓄率が高い水準で推移しているのは、数字で見る以上に現役世帯が貯蓄へ回す比率を高めていることを意味します。
株式などへ投資した分は家計貯蓄率に含まれません。
貯蓄と投資は将来に向けた資産形成という面で共通ですが、性質的に別のものという概念をもっています。
日本は世界屈指の貯金大国と言われていますが、これは欧米の先進国に比べて投資ではなく貯金を好む人が多いからです。
昨今は国内でもNISAを中心に投資の需要が高まっているため、娯楽や食費、家具、家電などの消費に回す割合は家計貯蓄率の数字以上に少なくなっています。
昨今のインフレによって食料や光熱費、ガソリン代などの物価が上昇して家計を圧迫しています。
物価上昇は家計貯蓄率を低下させる要因になりますが、コロナ禍を経ての変化や将来への不安などで今まで以上に財布の紐を引き締める人が増え、家計貯蓄率が高水準を維持しています。
食費・光熱費・養育費がかかる低所得者層の子育て世代などは、物価上昇の影響で贅沢をしていないのに貯蓄できない状況に陥る世帯が増加傾向です。
一方で生活余力がある高所得者や独身者は貯蓄へ回す金額を増やしているため、全体の家計貯蓄率がインフレと連動しない結果になっています。
一例として年収500万円だった場合は、年間100万円くらいのペースで貯金する人が多いです。
貯蓄率・貯金額にこだわるのではなく、投資や貯蓄性が高い生命保険なども活用しながら計画的に資産形成していくとよいでしょう。
家計貯蓄率の理想は収入・生活環境・価値観などによって違います。
国内でもっとも多い水準が家計貯蓄率20%前後です。
浪費癖で貯金ができない人は早急に支出を減らす取り組みをしてください。
娯楽費・嗜好品代などが少ないのに貯金できない人は、収入を増やすか生活費を減らすなど抜本的な部分から見直すことをおすすめします。
必要に応じてファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談しながら、ライフプランを立てて計画的に貯蓄・資産形成をしていくとよいでしょう。