インフレ(物価上昇)が起こるのは複数の原因があり、昨今のインフレについても複数の要因が併発して歴史的なインフレ加速へと繋がっています。
今日本でインフレが起こっている大きな理由とインフレの種類についてまとめました。
インフレは大きく分けて、需要側に原因がある「ディマンド・プル・インフレ」と、供給側に原因がある「コスト・プッシュ・インフレ」があります。
また、需要と供給のバランスだけではなく、貨幣の供給量が増えることが原因でインフレが起こる場合があります。
つまり、インフレの種類と原因は大きく分けて需要に原因があるインフレ・供給に原因があるインフレ・貨幣に原因があるインフレの3種類です。
ディマンド・プル・インフレは需要インフレーションとも呼ばれていて、高額でも欲しい人が増えるインフレです。
実質国内総生産が高まって失業率が低下。そして物価が上昇するなど好循環によるインフレが多く、経済的余裕のある消費者が多くなれば幅広い商品カテゴリーで物価が上昇します。
コスト・プッシュ・インフレは供給インフレーションとも呼ばれていて、生産コスト上昇などによるインフレです。
実際には生産・製造する過程だけではなく、物流コストや販売現場での人件費や光熱費の上昇も原因になっています。
供給側の原因によるインフレは、原材料や資源価格の上昇による資源インフレと人件費の高騰による賃金インフレの2種類があり、今日本ではその2種類が併発して急速な物価高へと繋がっています。
物価は貨幣の価値と反対の動きをする性質があります。貨幣の価値が下がれば物価が上がり、貨幣の価値が上がれば物価が下がりやすくなります。
貨幣の価値を示す重要な指標が外貨との相対的な価値を示す為替レートで、米ドル/円のレートを参考にするのがもっとも分かりやすいです。
政策金利や各通貨の安全性と貿易需要などによって需要と供給のバランスが変化し、貨幣の価値は日々変動しています。
昨今は先進国を中心に利上げをするなか、日本が海外の動きとは逆行して超低金利を維持したことで歴史的な円安になり、インフレが加速する大きな要因になっています。
円安の影響によって海外輸入の需要が高い商品などは、物価上昇率が著しいです。
また、日本は原油を輸入に頼っているため円安で原油価格が高騰し、資源インフレの要因にもなっています。
ハイパーインフレとは著しいペースで物価が上昇し、現地通貨の実質的な価値が失われて外貨への両替が急加速する状況です。
国家財政が極度に悪化して国力が失われるもので、現在の日本はハイパーインフレと呼べる状況にはなっていません。
第二次世界大戦以降の日本はしばらくハイパーインフレが起こっていたと言われていますが、現在の日本円は世界トップクラスの安全資産です。
そのため、将来的に日本がハイパーインフレを起こすリスクは低いとみられています。
消費者目線だとデフレが起こって物価が安くなった方がいいと思われがちですが、経済全体と将来性を考えると緩やかなインフレが続くのが理想だとされています。
日本銀行と政府は物価上昇2%を目標に掲げて取り組んできました。良いインフレは物価の安定と税収の確保に繋がります。
昨今のインフレは原油価格の高騰と急速な円安による悪いインフレで、国民の生活負担を増やしている状況です。
ただし、インフレそのものは悪ではなく、大企業の賃上げや最低賃金の上昇率アップなどに繋がっていて、日本の税収は過去最高を更新し続けています。
日本の政治家が相次ぐ不祥事を起こしているなど課題は山積みですが、今日本で起こっているインフレがこの先も悪い方向へ向かい続けるとは限りません。
インフレに対して悲観的にならず、厳しい状況の今を乗り切っていきましょう。