2020年から2023年にかけて3年連続で円安が続き、2020年1月時点で1ドル110円程度だった米ドルとの為替レートは、2023年末時点で1ドル約140円ほどの水準まで円安が進みました。
2022年と2023年は1ドル150円を付ける場面があり、2024年2月も1ドル150円前後の水準で推移するなど歴史的な円安が続いています。
将来の為替レートが円安・円高のどちらになるか完璧に予測することはできませんが、2024年は円安がピークアウトして緩やかな円高傾向へ転じると予想している経済アナリストが多いです。
昨今の円安ドル高が進んだ最大の理由が、日本銀行(日銀)とFRB(アメリカの中央銀行)による政策金利の違いです。
FRBをはじめ世界主要先進国の中央銀行は政策金利を高める政策へ舵を切ったのに対し、日本はマイナス金利政策を続けています。
米ドルやユーロなどの外貨および海外の国債を保有していれば高金利でお金が増えるのに対して、日本円および日本の国債を持っていても超低金利でお金が少ししか増えません。
そのため日本円を売って米ドルなどの外貨を買う需要が高まったことが、歴史的な円安になった最大の理由です。
日米の金利差が拡大するほど円安が進みやすく、金利差が縮まれば円高に転じる可能性が高まります。
金利差が縮まるには、日本が利上げをするかアメリカが利下げをする必要があります。
日銀は近いうちにマイナス金利を解除する可能性を示唆していて、春闘など賃金上昇の結果次第で2024年中にもマイナス金利を解除する可能性があります。
当然、マイナス金利解除による利上げが実現すれば円高になる見込みです。
なお為替は思惑が先行してレートが動き、結果が伴うと材料の出尽くしで逆の動きをする場合があります。
日銀による利上げ報道が増えれば円高になりやすいですが、実際に利上げをしたタイミングで大幅な円高になるとは限らないので注意してください。
FRBは利上げ打ち止め観測が強まり、2024年に利下げをする可能性を示唆しています。
日米の金利差で為替レートが変動する従来のセオリー通りであれば、長く続いた円安は2024年中に終わる可能性が高いでしょう。
2024年は日米の金利差が縮まる可能性が高いですが、金利差が縮まっても円高にはならず、逆に円安がさらに進行する可能性もあります。
まず為替レートなどはトレンドに沿って動く傾向があり、現在の明確に形成された円安トレンドを変えるには相応のバイアスがかかる必要があります。
また、日本円の国際的な需要および貿易での需給関係が変化しているため、日米の金利差が縮まったら世界屈指の安全資産である日本円に人気が戻るとは言い切れないのが現状です。
FRBは2007年のリーマンショックおよび2020年のコロナショックで一気に金利を引き下げました。
一般的に政策金利は景気が悪い時に下げて、景気が回復すれば利上げするのがセオリーです。
○○ショックなど経済に悪影響を与える大きな出来事があれば、予想を超える利下げをして大幅な円高になる可能性があります。
一方で想定を超える好景気になれば利下げをしない、もしくはさらなる利上げに踏み切るかもしれません。
経済へ影響を与える出来事次第で金融政策が変わるので、日銀がマイナス金利を解除してFRBが利下げをする現在の予測は何かの出来事がきっかけで簡単に変化します。
つまり、将来的な為替レートが円高・円安のどちらに動くかは誰にも分かりません。
今後は円高になると決めつけて資産運用やライフプランを立てるのではなく、様々な可能性を考慮してリスク分散をしながら投資や資産形成をすることが大切です。