昨今の急速なインフレはロシアとウクライナが戦争を始めたことがきっかけです。
欧米を中心に一方的な侵攻と略奪をしているロシアへの批判が強く、ロシアからの禁輸による経済制裁をしたことがインフレに大きく影響しています。
一方で1950年以降も海外ではアメリカが絡むものを含めた多くの戦争がありましたが、日本国内においてはロシア・ウクライナ戦争ほどのインフレにはなっていません。
戦争とインフレの関係および歴史について紹介します。
ロシアは世界1位の石油・ガス生産国です。
そのロシアが大規模な戦争を始めて、欧米および日本・韓国などがロシア産の原油・天然ガスの禁輸措置をとったことでエネルギーコストが大幅に増えました。
日本は電気・ガスの値上げ幅が平均3割程度で収まっていますが、天然ガスや原油を陸路で供給されていたヨーロッパはエネルギーコストが2倍前後に上昇した国が多く、イタリアでは電気代が3倍になった時期がありました。
また、ロシアおよびウクライナは広大な土地を活かした小麦の生産国であり、海外産小麦の流通量減少によって小麦価格が高騰し、多くの食料品が値上げする要因になっています。
つまりロシアとウクライナの戦争は日本を含めた世界中の原油・ガス・食料品に大きな影響を与え、世界中の物価・エネルギーコストを大幅に上昇させました。
近代の戦争は原油・石油の調達紛争をきっかけにした戦争が多いです。
日本とアメリカによる太平洋戦争も対日石油全面禁輸がきっかけで、日本が蘭印の石油を武力で入手しようとしていると判断されたことが理由とされています。
イラン・イラク戦争も石油紛争を起因としたもので、アメリカが中東など多くの国の戦争に関わっているのも原油・石油を特定の国に独占されたくない思惑が関係しています。
1973年に中東の産油国が原油価格を70%引き上げたことによるオイルショックがありましたが、その後約50年近くにわたって原油価格が安定してきたのはアメリカが世界警察のような役割で世界的な平和が維持されてきたからです。
今回のロシアとウクライナの戦争は世界屈指の核保有国であるロシアによる戦争で、アメリカおよびNATOが直接的な介入ができず戦争およびインフレの長期化に繋がっています。
ロシア・ウクライナ戦争をはじめ、イスラエル・ガザ戦争(イスラエル・ハマス衝突)など昨今は大規模な戦争が起こっていて、近い将来に台湾有事が起こる懸念があります。
日本も防衛力を高める方針へ変わっていて、軍事予算を増やすには税収を高めないといけません。
今後は軍事予算が増え続ける可能性が極めて高く、今後の日本は段階的に増税されていく可能性が高いです。
インフレが収まったとしても増税によって生活への負担が高まるリスクがあることを覚えておきましょう。
併せて日本の円安状況がいつまで続くのかも気になるところ。
こちらの記事で円安・円高の仕組みや今後の展望について分かりやすく掲載していますので、是非ご一読ください。
戦後は敗戦国を中心にハイパーインフレが起こるケースが多いです。
第二次世界大戦後の日本はハイパーインフレが起こり、1950年の物価は1945年比で70倍ほどだったとされています。
戦後の日本でハイパーインフレが起こった理由は、戦後復興を中心にした需要の拡大です。
需要と供給のバランスでインフレ・デフレが起こり、需要が高まることを起因としたインフレを「ディマンド・プル・インフレ」と呼びます。
戦前・戦時中の日本は政府が需要を抑制していた影響もあり、戦後の需要拡大がより大きなものになりました。
第一次世界大戦後のドイツは卵の価格が1兆倍になる歴史的なハイパーインフレが起こりました。
財政赤字を埋めるための紙幣増刷が主な原因で、経済と庶民の生活を破壊して29年も続く大恐慌とナチスの台頭に繋がっています。
第一次世界大戦で敗戦国になったドイツは勝戦国から多額の賠償金を請求され、それに充てることを目的に後先を考えずに紙幣増刷をしていました。
ドイツの失敗例から将来的に敗戦国がドイツと同じような形でハイパーインフレを起こす可能性は低いですが、経済の崩壊と貨幣価値の急落によって発展途上国などがハイパーインフレを起こす可能性は十分にあります。
また、無差別なミサイル攻撃などで多大な損害が出ているウクライナも、戦後は日本と同じ復興需要によってインフレ率が一気に高まる見込みです。